地図趣味が広がる一方で、地図が苦手、という人はたくさんいます。
スマホで無料で見られる地図やナビ、GPSが登場したことで、迷子さんはいなくなったかというと、そんなことはありません。
GPSやナビがあるのになぜ迷うのでしょう?

話は変わりますが、人について行くと道を覚えないどころか、そこがどこだかよく分からなかったりします。それと似ていて、現在位置や最適なルートを教えてくれる優秀なナビに頼り切っては、自分自身の方向感覚は退化してしまうのです。退化してもスマホを100%頼れるならそれでもいいのですが、いまでも方向オンチは発生している……そう、相性が悪かったり使い方を間違えたり、あるいはスマホが使えなくなることもあります。いつだって頼りになる訳ではないのです。

アナログなようですが、スマホに頼らなくても自由自在に移動できるようになると、検索しなくても瞬時に全体像が把握できたり、最適なルートを見つけたり、気をつけるべき点や不自然な検索結果に気づいたりします。そんな「迷わないコツ」や「地図を読む方法」の本は、案外これまでなかったのです。


だいわ文庫 どんなに方向オンチでも地図が読めるようになる本(出版社
今和泉隆行 著 発行:大和書房
文庫判 縦150mm 横105mm 256ページ
定価 680円+税
ISBN:9784479307945
初版年月日:2019年12月12日

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しかし筆者も、今回ばかりは困りました。私は方向オンチではなく、地図が読めるほうですが(そうでないと本は書けない面が大きいのですが)、問題は、方向オンチで地図が読めない人の気持ちが分からないことでした。読めない人、迷う人はどんな状態なのか、また、読める人、迷わない人が無意識にやっていることは何なのか、この棚卸しから始まります。

筆者が恵まれていたのは、数多くの方向オンチさん、地図が読めない(苦手な)友人がいることです。また、自分の無意識を棚卸しするのは嫌いではない、というか、前の本(地図感覚)はその事始めでした。方向オンチさん向けの講義やトレーニングなんてしたことはないけれど、地図が読めて迷わない私が無意識にやっていることでひとつでも役に立つことがあれば、という思いで、今回も図版モリモリでお届けします。それで驚きの大特価(というわけでなく文庫本というわけで)680円+税!お買い得品です。

地図は、回しても良いけれど…

私は北を上に固定し、ぐるぐる回すことはありませんが、それは、いま北はどちらの方向か、いまどちらの方角に向かっているかを把握するのが大事だからです。しかし、前方向と地図の上方向が一致していないと気持ち悪い、という人は多く、地図をひっくり返したり、カーナビやスマホだと自動的に回転させたりする人もいます。ええ、回さないと重ならないなら随時、回して良いのです。いいんですが、そのとき北はどちらか、目的地までの移動は東西南北のどちら方向なのか、だけは押さえておいて下さい。

「駅を降りてから北方向なのか、南方向か」ということを、地図を見て押さえているだけでも、反対方向には行きませんよね。こうすると真逆の方向に行って大外しすることがなくなります。迷ったとしても、大体同じ方向なので、小さな軌道修正で済むでしょう。

迷う人は、どうしても地図をアップにしがちです。迷っているとき、目の前に見えるものや近くにあるものに影響されがちです。しかし大事なのは「引いて見ること」なのです。目的地の周りに何があるのか、となり町はどっちの方向なのか…。迷う前に、全体的な位置関係を押さえておきましょう。


昭文社「スーパーマップル 詳細首都圏道路地図」※当サイトに掲載の昭文社発行地図は、すべて株式会社昭文社の使用許諾を得ています。

上の地図は市販の地図、昭文社のマップルのとある1ページです。情報量が多く、慣れない人は「ウワッ、複雑…」と思うかもしれません。地図が読める人はこれを全部読み解いているかというと、実はそうでもありません。要点だけつかんでいるのです。骨格となるポイントだけ押さえておくと、全体像や位置関係がつかめます。上の地図を見て、下のような簡単な地図が書けたら良いのです。ぜひ地元や、これから行くところで、このようなラフな地図を描いてみましょう。本書ではその他、構内図の読み解き方も収録しています。

いやいやいや、どうしても地図は…地図は苦手だし嫌いだし……と言う人もいるかもいるでしょう。地図が苦手でも、目的地にたどり着けない迷子さんから脱出する鍵があります。それは「固有の情報」を見つけること。目の前に見えるものをどう認識するかが問題です。「なんか賑わってる店がある!」それはただの感想です。「駅の出口がある」「銀行がある」「信号がある」まだいいでしょう、でもまだまだです。

駅名や銀行名といった固有名詞を見ていきましょう。上の写真だと「新宿三丁目駅」「三井住友銀行」ですね。これでもまだまだです。大きな街だと駅の出口も銀行も、たくさんあるのです。一箇所に絞ることができないと、他の出口や支店と間違えて、現在地や目的地を間違えてしまうでしょう。

出口の番号や支店名まで見つけられると、そこにしかない「固有の情報」です。その他信号機の横についている交差点名や住所表記も固有の情報です。意外なところに書かれた住所情報や日本の住所の仕組みをはじめ、その他の固有の情報の見つけ方は本文に掲載しています。

本文では後半で、迷井駅から迷井寺までの地図を用意しました。著者は空想地図作者ゆえ、ここでも架空の地図です。一番良いルート、気をつけるべきポイントはどこでしょうか。駅の出口がどこにあるか、通りやすい道か通りにくい道か、曲がり角の覚え方、さらには平たいか坂道か、といった傾斜の具合まで読めてきます。さて、どのルートが良いのでしょう?詳しくは本文をご覧下さい。


だいわ文庫 どんなに方向オンチでも地図が読めるようになる本(出版社
今和泉隆行 著 発行:大和書房
文庫判 縦150mm 横105mm 256ページ
定価 680円+税
ISBN9784479307945CコードC0195
初版年月日:2019年12月12日

主要ネット書店|amazonhonto紀伊國屋書店楽天ブックス

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